5月21日_EBC29日目 15時にサウスコルに着く_豪太日記
[行動概要]
C3′→C4(8000m)
6:00 起床
7:00 朝食
8:30 登山開始
15:00 C4着
17:00 夕食
・天気
朝 晴れ テント前-15℃
午前中 ほぼ無風
ローツェフェースに着いて3日目。
これほど長い壁があるものか、と毎回驚かされる。
視界はどんどん高くなり、今までいた場所がはるか下に見え、
これまで仰ぎ見ていた山々が同じ目線に見えるようになる。
それは登山家冥利に尽きるのであろうが、
積み上げた高みが少しの油断で簡単に落ちてしまう恐ろしさも感じる。
今日はいよいよ世界で一番たかい峠、サウスコルに到達する。
ローツェフェースを横切り、ジェニパスパと呼ばれる岩場を登ればすぐのはずである。
実際にジェニバスパは距離にして2キロにも満たないだろうが、何せ足が前に出ない。
わずかな距離を進むのに2時間もかかる。
途中、昨日登頂に成功した近藤さんの隊に出会う。
疲れ切った様子で帰路に着いている。
彼らのグループでは近藤さんを含めて3人が登頂したようだ。
昨日は天気が良くなかったので、途中で引き返す班も必要だっただろう。
さらに歩くと腕の無い登山家が歩いてくる。
フラフラして危なっかしい。
僕達がジェニバスパを登っていると、ヘリコプターの爆音が聞こえてきた。
ヘリコプターにはロープとフックがついている。
ヘリコプターは先ほどの両腕のない人の上にホバリングすると、
フックにひっかけて吊るし上げた。
標高7600mほど、おそらく世界で一番標高の高いレスキューだっただろう。
さてゆっくりと登山をしていた僕達も、やっとC4-サウスコルに着いた。
至る所にテントが張ってあり、ゴミも散乱している。
まるで野外ロックコンサート会場が突然現れたようだ。
サウスコルは死の臭いがすると言うが、これではごみの臭いがしそうだ。
僕達のテント場はエベレストに近い場所で、起きたらすぐにスタートできる。